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日本の映画界

映画製作配給コースの第二回目のゲストは
元ATG(ArtTheaterGuild)社長、早稲田大学の客員教授、
日本映画学校の理事長の佐々木史朗さんでした。

長年に渡り、数多の映画をプロデュースされている佐々木氏のお言葉には
大変な重みがあります。

講義はまず、2007年の日本映画興行成績トップ10を紹介していただきました。
驚くべきことに、一作品を除いてすべて東宝配給の作品ばかり。
製作はほとんどせず、配給に徹する東宝の独り勝ち状態に
危機感を抱く人は少なくないようです。
また、10作品中ほとんどの作品がテレビドラマの映画化や
製作委員会に大手テレビ局が入っている作品である事実も忘れてはなりません。

お話は日本映画のマーケット規模へと続きます。
2007年、日本における映画興行収入は総額2000億円、総収入は7000億円。

2006年は21年ぶりに邦画の興行収入が洋画を上回りましたが
2007年の邦画と洋画の興行収入の割合は、邦画47%:洋画53%でした。
邦画ではメジャー(東宝 東映 松竹 角川)の割合が92%、
インディペンデント系が8%という結果でした。

次に佐々木史郎さんが代表を務める(株)オフィス・シロウズの製作作品の
成功例と失敗例の紹介。まさに雲泥の差と言える数字に一同仰天!

劇場配給収入、ビデオ収入、プログラム他グッズ収入、印税収入、テレビ収入、
外国収入と言った収入の内訳と製作費、A&P(宣伝・プリント)費、
出資者分配金、監督と脚本家への成功報酬などの支出の内訳を
こと細かに、そしてリアルにご説明いただきました。

続いては洋画の製作費のお話。今日、数百億円の巨額な製作費を使って
作られるようになったハリウッド映画の歴史を紐解いていただきました。
エジソンの(キネトスコープ)、リュミエールの(シネマトグラフ)から
始まった映画がどのような経緯で現在の形に至ったのかをお話いただきました。

ハリウッドはいわばユダヤ人村。メジャースタジオの創始者たちは全員が
ユダヤ人でした。もともとNYで映画を撮っていた彼らは、独占企業「トラスト」
の制裁を恐れて拠点をカリフォルニアに移します。

1940年代後半にはテレビが最盛期を迎え、アメリカの映画産業は危機を迎えます。
しかし、三大ネットワーク局の独占的競争力をそぐために設けられた
プライムタイム・アクセス・ルールとFINSYNルールによって、
ネットワーク系列局は、ネットワーク以外からの番組購入を義務づけられました。

そこで重宝がられたのがハリウッドの映画スタジオです。そんなわけで、
FINSYNルールが撤廃された1995年以降も、アメリカのほとんどのテレビドラマは
メジャースタジオが製作したものなのだそうです。

改めてアメリカと日本の映像業界の違いをご説明いただき、
これからの日本の映画界のあるべき姿に思いを巡らせることができました。

その昔、映画館に足を運ぶことでしか楽しめなかった映画は
今や携帯電話でも見られる時代になりました。

単なる“消費財”として使い捨てされない映画を作っていくことが
作り手に託された課題であることは、間違いありません。

(前回、今回の記事は学校のHPに投稿した記事とほぼ同じです)
by may3da | 2008-09-21 09:31 | 日記