Translator's Diary

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顧客至上主義

マジメにブログを書き始めて約2か月が経った。
何事においてもそうだが、経験して初めて気づくことは山ほどある。

ゴルフをやったことのない人に、タイガー・ウッズの偉大さは理解できないし、
翻訳をしたことのない人に、翻訳作業の大変さは分からない。

「ウェブは誰でも簡単に情報を発信できるスペースだ」ということは
前から知っていたが、発信側に立って初めてウェブ時代の到来の
本当の意味を肌で感じることができたような気がする。

***

日経ビジネスオンラインの記事
「カスタマー・セントリック」に傾倒していく米メディアたち」を読んだ。

ここで言うCustomer-Centric(顧客至上主義)とは、つまりこういうこと。

映像がウェブ上にあふれる

消費者の視聴行動が記録される

行動に合ったコンテンツ配信の仕組みや、行動ターゲティング広告が発達する

メディアや製作者側が、“好きな映像を集めて視聴する”という消費者行動に
合ったコンテンツを創造するようになる

***

この流れとは直接関係はないが、映像翻訳の世界でも
“Customer-Centric”のトレンドが顕著になってきているようだ。

その証拠に、以前と比べ、意訳よりも原文を忠実に翻訳する“直訳寄り”の翻訳が
好まれるようになってきた。

※意訳=原文の一語一語にこだわらず、全体の意味に重点をおいて訳すこと

もちろん日本人の英語のリテラシーが上がったことも関係があるだろうし
字幕は原文がハッキリと聞こえるので、以前から意訳は避ける傾向にあった。

消費者が匿名で世界に向けて情報を発信できるようになった今、
字幕に対しても、どこでどんなクレームが発生するか分からない。
字幕に対する抗議運動が始まったのもインターネットが普及してからのことだ。
こういった現象を避けるためにも、直訳寄りにならざるを得ないのだろう。

でも一映画ファンとして、コンテンツがこれ以上コモディティ(商品)化していくのは
とても悲しいことだし、一翻訳者の本音としては、少々窮屈な感じがするのである。
by may3da | 2008-01-24 12:08 | 翻訳