Translator's Diary

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映画っていくらなの?

突然ですが、皆さんは映画がいくらするかご存知でしょうか?
お恥ずかしながら、私は今回AFMに参加するまで知りませんでした。

まったく知らないまま参加するわけにはいかないと思い、出発前に
書店で1冊の本を手にしました。伝説の映画バイヤー、梅原健さんの
『アカデミー賞を買った男』です。はっきり言えば、この本を読んで得た
知識だけでマーケットに参加したということです。(無謀です)
今回は、この本の引用に私の経験を交えて書きたいと思います。
(ちなみにこの本、脚本の読み方や映画そのものについての記述も多く
翻訳者にもお勧めです。)

映画バイヤーって?

映画バイヤーの仕事とは、映画製作会社または映画の海外セールスを
代理で行うセールス会社から、日本での配給権を独占的に買う仕事です。
配給権とは、劇場配給、その6ヵ月後のビデオ発売、さらに6ヵ月後の
権利行使となるテレビ番組放映セールス権等を指し、いわゆるオールライツ
(全権利ベース)の交渉をします。

映画セラーって?

マーケットでブースを出し、映画を売るのが、バイヤーとは逆の立場のセラーです。
セラーには2種類あり、1つは映画製作会社が自ら作品を海外に売る会社
(アメリカのNew LineやMiramax、イギリスのIcon、フランスのGaumontなど)で
もう1つは映画製作会社からの委託でセールスだけを代理するセールスエージェントです。
セールスエージェントのほうが圧倒的に多く、大小含めると120社ほどあるそうです。

どうやって買い付けるの?

映画の買い付けは2種類あり、1つは完成品を試写してから買い付ける方法。
もう1つがPre-buy(プリバイ)と言って映画を製作前に買い付ける方法です。
(脚本や主要キャスト、予定制作費などの情報だけで判断します)
ただし、著名監督の話題作ともなると、脚本段階でのPre-buyがほとんどで
脚本段階での配給権争奪戦が繰り広げられるそうです。

それで一体いくらなの?

日本のオールライツの権利金は一括のフラット買いと相手の取り分に対する
最低保証金制の2パターンがあり、劇場公開用映画のほとんどは後者。
つまり日本の劇場で公開される作品のほとんどは、MG(ミニマム・ギャランティ)
という相手方の最低保証取り分を先に支払います。ちなみにその金額は
映画の製作費の7~12%だそうです。いかにパーセンテージが抑えられるかは
バイヤーの腕の見せどころというわけですね。

全国150館以上で公開される、超大作になるとMGは400万~1500万ドル。
ただし、映画を公開するにはプロモーション(宣伝)が必要不可欠なので
MGのほかに4~10億円をかけて日本国内のプロモーションを行います。

単館映画の場合は、MGは5万~50万ドル。(ただし、その監督作品が
主要映画祭で賞をとるにつれて高額になります。)それに宣伝費として
3千~7千万円が必要だそうです。

これだけ高額な商品を、完成品を観ずに買うなんてまさにギャンブルです。
しかもセールス・エージェントは作品を褒めることしかしません。
これだけの高額商品を売る人たちですから、当然口もたちます。
日本市場のこともよく研究していて、宣伝の仕方などのアドバイスまでしてくれます。
まさにプロの交渉人の集まり。まずは交渉の勉強をしなければなりません…

そんな世界で私は何をしていたかというと…
スクリーニング(試写)に行ったり、お目当ての作品はないかと
アポなし飛び込みでホテルのブースを回って歩きました。

“これこれこういうものが欲しい”と言うと、トレイラーを流して
作品の説明をしてくれ、最後にスクリーナー(作品のDVD)を持たせてくれます。
スクリーナーを観て気に入れば後日連絡するというシステムです。
大量のパンフレットとスクリーナーを持って歩くので疲れました…
(本当はそれらを観るほうが大変なんですが・・・)

この日はスクリーニングで3本の映画を見ました。
1本は『Kinky Boots』の脚本家Geoff Deane脚本の
『It's a Boy Girl Thing』。最高に笑えました。

2本目は韓国アニメ『Aachi &Ssipak』。
こちらもコメディーです。韓国のアニメは初めて見ましたが
キャラクターが可愛くて、スピード感のあるアクションが楽しめました。
細かいギャグは英語字幕なのでイマイチ伝わりづらかったので
早く日本語字幕で見たいです。

3本目もこれまたコメディーのドキュメンタリー作品『Air Guitar Nation』。
これも最高。ドキュメンタリー好きにはたまらない作品です。
主役(?)のアメリカ代表のクリスさんがKorean Americanだったので
なんだか親しみを持って見られました。クリス最高!
Air Guitarという一見何の役にも立たない芸に没頭する彼らの姿が
実にコミカルで、終始クスクス笑ってました。でも最後は感動もアリです。

という感じで…初のAFM体験は8日の13時に終わりました。
もう一生来ることはないかもしれませんが、また来年も来たいなあ…

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Market Badge(Audi提供)
by may3da | 2006-11-06 15:03 | コンテンツ